芸術は革命に先んじます。革命の前には芸術の更新があったのです。その構造を解明することによって、新たな世界像を見出していきます。
芸術の様式はなぜ更新していくのでしょう。それは一見、新しい哲学、新しい思想、新しい科学、新しい経済、新しい社会を取り込むことで更新しているように思えますし、実際、芸術家は現在の状況に対応した新しい様式をつくりだそうと努力しています。しかし、新しい様式をつくりだすということは、すでにそこにある様式を壊していくことに他なりません。現在の様式を壊し、新しい、あるいは過去の様式を甦らせようとする瞬間に、立ち上がってくるのは芸術の根源です。それは人間存在の根源でもあり、哲学、思想、科学、経済そして社会もその根源から発生してきたのです。その根源を表出させようとする芸術と覆い隠そうとする政治、その構造を芸術と政治の関係を見ることで解明していきます。