戦後初の公選杉並区長―新居格から受け継ぐこと

『杉並区長日記 地方自治の先駆者・新居格』(虹霓社)出版記念レクチャー

(杉並)区には学者、文化人、知識人たちが多く在住しているのであるから、わたしはゲーテや、シラー、ヴィーラントやリストの住んでいたワイマールのような、芸術的香気の高い地区にしてみたいと夢みた。

1947年4月、理想の町を描いた杉並区の初代公選区長が誕生しました。区長の名は新居格(にい いたる)。今では語る人もいない人物ですが、作家、評論家、翻訳家、思想家、協同組合の組合長、アナキスト、ユートピアンなど、いろいろな顔を持つ大変ユニークな人物でした。区議会や役所の因襲を嫌い、あくまでも区民本位に文化・芸術・自然を重視したまちづくりを進めようとしましたが、旧来の壁は厚く、また病身ゆえ、わずか1年で新居は区長の座から退きます。

その1年間の区政を自ら振り返った新居の『杉並区長日記』が今秋「虹霓社」より復刊されることを記念し、新居を再考するレクチャーを行います。同書に小伝を寄せた「公益学」提唱者の小松隆二さんに、文筆家としてだけではなく、地方自治やまちづくりの先駆者という視点で、また、著書『原水禁署名運動の誕生―東京・杉並の住民パワーと水脈』で新居の活動も紹介している丸浜江里子さんには、戦前に新居が組合長を務めた城西消費組合を中心に、新居区政を誕生させ、その後の住民運動へと繋がっていく杉並のネットワークについてお話いただきます。

◆ “地方自治・地方行政の鑑” 新居格の生涯と業績 小松隆二
◆ 新居格と城西消費組合 ネットワークの源流 丸浜江里子
◆ 対談「新居格から受け継ぐこと」小松隆二×丸浜江里子

日 時:2017年11月19日(日)16:00~18:30/15:30 Open
場 所:素人の乱12号店|自由芸術大学
東京都杉並区高円寺北3丁目8-12 フデノビル2F 奥の部屋
資料代:500円+投げ銭(ワンドリンクオーダー)
講 師:小松隆二×丸浜江里子
司 会:古屋淳二(虹霓社)

小松隆二 〈こまつ りゅうじ〉
慶應義塾大学名誉教授、白梅学園理事長。
著書に『企業別組合の生成』(御茶ノ水書房)、『理想郷の子供たち̶ニュージーランドの児童福祉』、『現代社会政策論』、『ニュージーランド社会誌』、『公益とは何か』、『新潟が生んだ七人の思想家たち』(以上、論創社)、『大正自由人物語̶望月桂とその周辺』(岩波書店)ほか多数。

 

丸浜 江里子 〈まるはま えりこ〉
歴史教育者協議会、原水禁署名運動研究。
著書に『原水禁署名運動の誕生―東京・杉並の住民パワーと水脈』、『ほうしゃの雨はもういらない』(以上、凱風社)

 

 


『杉並区長日記』ほか関係書籍を、当日会場で販売いたします。

・杉並区長日記-地方自治の先駆者・新居格
新居格 2017年 虹霓社 1600円+税
・原水禁署名運動の誕生-東京· 杉並の住民パワーと水脈
丸浜江里子 2011年 凱風社 3500円+税
・ほうしゃの雨はもういらない
丸浜江里子 2016年 凱風社 1300円+税