不条理の経験において、苦悩は個人的なものである。反抗的行動が始まると、苦悩は集団的であることを意識し、全ての人の冒険となる。それゆえ、異邦人性にとらえられた精神の最初の進歩は、この異邦人性は万人と共有しているものだということを認めることであり、また、人間の実在は、全体として、自己との、そして世界とのこの距離に悩むものだということを認めることである。一人の人間を苦しめていた病は、集団のペストになる。我々のものである日々の苦難のなかで、反抗は、思考の領域における「コギト」と同一の役割を果たす。反抗が第一の明白さとなるのだ。しかし、この明白さは個人をその孤独から引き上げる。反抗はすべての人間の上に最初の価値を築き上げる共通の場なのである。我反抗する、ゆえに我らあり。
――アルベール・カミュ『反抗的人間』
パンデミックによって、表現者さえも補償を求め、多くの人が緊急事態宣言を期待するような時代が訪れています。立ちはだかる不条理の中で、権力への集中、依存から逃れるには、どのように思考し、どのような行動を選択すればよいのか。自由読書会では、急遽、本を変更して、次回から「われ反抗す、ゆえにわれら在り ――カミュ『ペスト』を読む」を読みます。
岩波ブックレット
われ反抗す,ゆえにわれら在り
カミュ『ペスト』を読む
https://www.iwanami.co.jp/book/b254438.html
【要旨】
アルベール・カミュの『ペスト』(1947年)は、「不条理に人間としてどう立ち向かうか」を描いた小説として、時代を越えて読み継がれている。特に、3.11を経験し、戦後民主主義を否定する政治的な動きが広がる現在の日本社会において、この作品を読む意義は大きい。不条理に反抗する力とは。人間の可能性とは。カミュの思想も紹介しながら、根源から読み解く。
【目次】
はじめに――なぜ、いま『ペスト』なのか
第1章 ペストに襲われた町
第2章 災禍に戸惑う人びと
――ペストは《神の審判》なのか
第3章 《神なしに》ペストと闘う人びと
――誠実に生きるということ
第4章 「われ反抗す、ゆえにわれら在り」
――カミュとボンへッファー
予定はスケジュールをご確認ください。
第1第3水曜日 20:00~21:30
場所:素人の乱12号店|自由芸術大学
杉並区高円寺北3-8-12 フデノビル2F 奥の部屋
資料の準備がありますので、参加される方は下のフォームよりお申し込みください。
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