民衆詩を撒く—1950年代サークル文化運動
池上善彦×松本麻里×and more…
1950年代に興隆したサークル文化運動によって、戦前には定義づけることの出来なかった「民衆」が出現した。大正期に政府の弾圧などによりその芽を摘まれた民衆芸術運動が再び芽を出したのだ。そのサークル文化運動も占領軍による弾圧や資本への回収によって衰退していくのだが、民衆が芸術を創り出すことの経験と可能性は、1960年代のカウンター・カルチャー、1980年代のパンクロック/グラフィティ、2000年代のフリー・カルチャーに受け継がれている。新自由主義の限界が露呈し貧富の格差が拡大し続ける現在、「サークル文化運動」という民衆芸術の果実を咀嚼し、私たちの中の民衆を取り戻す。
日 時:2017年3月4日(土)19:00~21:00/18:30 Open
場 所:素人の乱12号店|自由芸術大学
杉並区高円寺北3-8-12 フデノビル2F 奥の部屋
資料代:500円+投げ銭(ワンドリンクオーダー)
スピーカー
★池上善彦:元『現代思想』編集長
★松本麻里:文工研neo
~道場親信『下丸子文化集団とその時代』(みすず書房)を軸に~
一九五〇年代という時代は、サークル文化運動が空前の盛り上がりを見せた時代であり、サークル文化運動に関わることで、無数の無名の人びとが自分たち自身の手で「文化」を創り出し、社会の担い手としての意識を獲得し、職場や地域をより人間的なものに変えていこうとする社会活動に携わっていったのである。ラジオやテレビの普及、映画の隆盛、流行歌と芸能界の形成といったマス・カルチャーの動向と並行して、自分たち自身で詩や小説を書き、生活記録を綴り、印刷・製本をし、演劇を作り、コーラスを繰り広げていったサークル文化運動が広範に存在した。
道場親信『下丸子文化集団とその時代』より